この世界・玉兎銀蟾(ぎょくとぎんせん)は、4つの季節と、4つの月が支配している。
水の季節の『蒼い月』――蒼月。
風の季節の『碧の月』――碧月。
火の季節の『緋の月』――緋月。
そして――白の季節の『白の月』――白月。
これらの「月」は、いつ、どこで、どういう風に現れるのか、分からない不安定なものであり、「日」の存在しないこ蟾宮(せんきゅう)を唯一、「月」が支配しているのである。
故に、この蟾宮に住まう者達・月精(げっせい)の中に、「月」の支配を受けない人はいなかった。
否、受けずに生きている者など、存在しなかったのである。
それ程、「月」の力は偉大だった。
そして、その「月」の力を受け取る為の神域・『神宮(しんぐう)』がある。
『神宮』は神山にあり、清き者以外の立ち入りを許されず、外界との接触を一切断っていた。
そこへの道を「十六夜」という川が妨げる。
すべて、その姿を表に現わさない―――『神宮』の神主・「月読」の名の下に……。
月精達は、そんな『神宮』の事を 『月の殿』と呼んだ―――。