舞台は、遥か古の大陸・フューヘン大陸。
そこは、数多の神々に収められた大陸だった。
天空界を治めるは、全知全能の存在 最高神・ゼウス。
ゼウスは天空神として、全宇宙や雲・雨・雪・雷などの気象を支配していた。
キュクロプスの作った雷霆・ケラウノスを主な武器とし、その威力は最強と謳われるほど強大なものだった。
このケラウノスをゼウスが使えば世界を一撃で熔解させ、全宇宙を焼き尽くすことができるとさえ言われている。
地上界を治めるは、地母神・ガイア。
ガイアは全ての神・人の母であり、また、未来を予言する能力を持つ女神でもあった。
海洋界を治めるは、海王神・ポセイドン。
ポセイドンは、海と地震を司る神であり、最高神・ゼウスに次ぐ圧倒的な強さを誇ると言われていた。
その地位と実力は、ゼウス・エナリオス(海のゼウス)と呼ばれるほど高く、その支配力は全海域に及ぶ。
ティタノマキアの際にキュクロプスから贈られた三叉の矛・トリアイナを最大の武器とし、これによって大海と大陸を自在に支配する事が出来ると言われていた。
そして―――。
冥界を治めるは、冥王・ハーデス。
ゼウス、ポセイドンに次ぐ実力を持つとされ、ゼウス・クトニオス(地下のゼウス)と呼ばれていた。
生まれた直後、ガイアの「産まれた子に権力を奪われる」という予言を恐れた父・クロノスに飲み込まれてしまうが、その後、末弟ゼウスに助けられクロノスらティターン神族と戦い勝利する(この戦いをティタノマキアという)。
武器は、二叉の槍・バイデント また、被ると姿が見えなくなる「隠れ兜」を所持していた。
そんな冥界には数多の死者が必ず通るとされている、冥界の門ともいうべき区画があった。
暗黒界と呼ばれるその区画は、誓いと憎しみの川と、忘却の川を渡った先にあり、死者の魂の森を通ると、大きな門に辿り着く。
そこには、3つの頭と蛇の尾、さらに胴体には何匹もの蛇の頭をもつとされるケルベロスがいると言われており、そこを通るためにはある‟証”が必要だった。
その‟証”こそ、‟黒き翼を持つ死の使い・エリア”だった。
彼女達の道案内なくして、暗黒界最大の神殿・芙蓉殿へは辿りつけないのだ――。
そして、芙蓉殿にて死者の行き先の選別が行われている。
ある者は、ティタノマキアで捕らわれた巨人族であるティターン族が幽閉されていると言われている・冥界の奥底の奈落へ――。
ある者は、神々に愛された英雄たちの魂が暮らすとされる・楽園へ。
この暗黒界を支配するのは大王・羅炎(らえん)。
炎王とも呼ばれるその身は、腕をひと振りすれば煉獄の炎ですべてを焼き尽くすという――。
そして、その唯一の血縁であり、エリアの統括をするは、紫の瞳と長く艶やかな漆黒の髪――そして、黒き翼を持つ少女 その名を、魁羅(かいら)といった。
彼女が錫杖をひと振りするだけで、辺り一面紫炎の炎に焼かれ、跡形もなくなるという――。
終の章は、Elijahシリーズの最後 天空界と、冥界との戦い‟ハーデマキア”の後の話になります。
‟記憶”も、‟愛する人”も何もかも 全てを失った魁羅は地上界へとその身を落とすことになる。